65歳の日溜まり (*´・ω・)ノ。゜・☆。

貧乏な独り暮らしで、時々、無性に寂しくなりますが、ふと思ったことを書きます………来てくれて、ありがとう。

「一日3時間しか働かない国」まとめ 3

 おはようございます。

 本のまとめは今日で終ります。

 

九通目の手紙

『本来の成長を妨げられ、うまく成熟できなかった場合、人は誰かに頼らないとやっていけない。さらには、問題やフラストレーションをゆがんだ形でしか共有できない一生を送るはめになってしまうんです。

 そうではなく、男性であろうと女性であろうと、なにをするにしても、まずは「人間」のレベルに到達しなければならないんですよ。言いかえれば、経済的にも心理的にも感情的にも自立した人間になるということですね。

 こうした見地に立てば、二人の人間が生活を共にしようということになったとき、依存しあうことなく、互いに自由を与えあうことができるんです』

 

 

十通目の手紙

 主人公は帰らなければならないイタリアの現状を思います………

 そして………

「………けんかや争い、個人から政治体制にいたるまではびこる偽善、押し付けがましい宣伝、大勢の人間が取らされる義務的な休暇、そしてとりわけ強制的な労働の義務。いったんこうしたことがなくなってしまえば、莫大なエネルギーをみんなの利益に還元することができる。それを証明したいがために、それを実現したいがために、この社会は歩み続けている。

 憂いを抱えて生きていく苦悩から解放されるのだし、望んでもいない運命からみんなを解き放つことができるのだし、ひいては避けられない死の恐怖を克服することさえできるんじゃないかな。………」

 

 そして、主人公は故郷に帰らないで、キルギシアで生きていく決心をします。

 

 

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 以上がこの本のまとめです。

 手紙という形式をとりながら、ユートピア的な国を描いています。それはイタリアのみならず、先進国の経済優先の国の現況の陰画なのですが………

 

【感想と批判】

  • 人間的な生活を維持する生産に費やす労働時間が、3時間で充分だ、というのは納得できるのですが、それの詳しい考察がないのが………残念です。
  • この資本主義という経済システムを転換しなければ………ようするに、利潤優先、儲け主義、労働奴隷制という経済体制(通貨や流通)を変えなければ、人間的生活優先にはならないと思います。
  • 経済のあり方を根本的に変えてしまうベーシックインカムを導入しなければ、人の生活は変わらないと思っているので。

 

 キルギシアの生活の仕方は、非常に人間的で、ユートピアはこんなだろうな、と思わせます。

 ただ、人間の本質は「善」だけでなく、「暴力的」だと思うのです。

 それは集団で生きていかなければならない動物としての制約や、弱さから来ると思っています。

 人は自然に対して弱いから────自然から離れた人工的な「集団」という装置では「強さ」を目的とせざるを得ない存在になる。弱いままだと、集団としても、生き残れないから………人が「強さ」や、「理想」「真理」を求める、根源でしょう。

 

 人は、他を犠牲者にして、自分の強さを確認するのだし、強いほうが集団の中でいい位置にいられる、ということがある。集団が持つ「基準」とか「規範」を拵えることで、グループを維持しなくてはならない。それが苦しみを産みます。

 

 強さを求める=他に対して暴力的、というのは人間に本然として備わったものだと思うので、この本に描かれたユートピア的な人間的世界を作れるのか………すごく難しい……… 

 宗教的な規範をみんなが穏やかに受け入れる、そんな社会が作れるのか?

 この本で描かれているユートピア世界は、西欧的思想の帰結です。アジアやアフリカ、南アメリカ大陸、ポリネシアには、違うユートピアがあると思う。

 

 たとえば、日本は明治維新で富国強兵の近代化を進めるまでは、封建的な農本主義でした。農業が国の生産の元でした。

 いま、日本だけでなく、主要国を除いた世界の国が、食糧を輸入に頼っています。農業生産品もグローバル化の波に取り込まれています。たぶん生きるということを、他の国に依存する状態が続くでしょう。世界は画一化されているので………自主、独立ができるか………

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 いろんなことを考えさせられる本でした。 

 ただ、理想的世界を描いていて………ほっとするものがありました。こういう世界がいいです。

 男も女も、自然で………子どもも老人も………穏やかに、のびやかであればいいのに………という気持ちにさせられます。

 いつかはこういうユートピア的世界が作られるでしょう。人間は賢くて、理想を求めるので。